ツールドちば2007第2ステージ参加報告

コースは白子→館山116km 参加人数:2000人 スタート:午前8時
機種:Windrider-Ver.2(改良型駆動部) 参加者:オーテック 織田 参加目的:技術の検証と健康法

aftergoal2007tdc

ゴールまでに4度の休憩がありレースではありません。 しかし一旦走りだすと皆さんがんばっていました。 小生も同様。 

前半は40km以上アップダウンを繰り返しながら登る長坂(大多喜街道)だ。 張りきって先頭グループに入ってスタートしたものの、登りに差し掛かると団体走の隊列に幅寄せされて追い越され、くだり坂で挽回というサイクルを何度となく繰り返す。 駆動部改良の甲斐なくやはりリカンベントは登りに弱いのかとの思いがよぎる。 “リカンベントでは登りは大変でしょう”と慰めてくれる人が何人も出てくる始末で、それなら多少の遅れも許されるかと、弱気も芽生えかけた。 よく考えてみると、団体走の隊列に追いつかれ、”団体が来ますので左に寄ってください”と先頭のお兄さん、おねえさん方に言われ、”はいよ”と左に寄ったとたん、後続者に次々幅寄せされる。 皆さん幅寄せがうまい。 こちらはその度にブレーキ、再加速を繰り返えすわけだ。 これを10回(10人)繰り返すとかなりのエネルギー消耗になるし、モラールも下がる(単独走のデメリット)。

Photo taken by coracer 

しかし、開発者、研究者としてあらゆる手段を試すべきとトライを繰り返した。 前半最後の急坂に差し掛かる頃にはペダルの回転を上げずにペダルを蹴り出す要領を体得していた。 要するにSDV本来のトルク優先ペダリング、パワーペダリングに徹しただけのこと。 ついついロードにつられて必要以上に軽いギアに落としたのが間違いだった。 その結果、その急坂で30人くらいの隊列を一気に抜き始め、勝浦港が見え始める峠で先頭の3人を追い抜いた(このうち女性が一人)。 追い越された人たちの驚き声、ぎらぎらする日射と木々の間から見え始めた太平洋、爽快で高揚した気分!

峠を過ぎると間もなく、鬱蒼とした木々が頭上を覆う急なくだり坂に突入し、開けた眺望の代わりにスピンカーブが始まった。 くだり始めてすぐ何人かを追い越したところでものすごい爆音が近づいてきた。 ハーレー集団だ。 えらい時にとんでもない連中が来たもんだ。 下手に速度を落とすこともできない。 数台がカーブを膨らみながら小生を追い越して行った。 さらに追い越されかけたところで対向車が数台続いて登ってきた。 こうなると彼らもカーブを膨らんで走ることができず、小生は前後、右を固められてくだるはめとなった。 その間5分間くらいだったろうか、変な平衡状態が醸し出された。 この平衡状態の中、山側の路端で大の字に倒れた人とこれを介抱している二人を発見。 瞬間的に助けに加わることを考えたがどうすることもできなかった。 短時間で繰り返すコーナーリングとハーレーに気を取られ、その後このくだり坂でサイクリストに出会った記憶がない。 ハーレーよりWindriderの方がより内角をすばやくコーナーリングできることを知った。 そのため速度の平衡が自然と保たれた。 くだり坂でも吹かさなくてはならないエネルギー多消費ビークル(車)とヒューマンパワードビークル。 集中していた割にはいろいろなことが脳裏をよぎった。 木漏れ日が差す七曲の下り坂、ハレー独特のドッドという音、吹かし音、今でも鮮明に頭に浮かぶ。 久しぶりにアドレナリンが湧いたように感じる5分間であった。

この薄暗い緊張の坂を下りきると、ハーレー集団はあっという間に去ってゆき、静寂な単独走の世界に戻った。 怒涛がはじける絶景の海岸線を走り始めたとき、何ともいえない感激を覚えた。 向かい風さえ心地よかった。 しかしゆるやかにアップダウンを繰り返す海岸道を走るにつれ、向かい風と強い日差しに対する戦いが始まっていると自覚した。 まだ50km以上ある。 次は昼めしの休憩所だ。 

鴨川の町なかのコースが屈曲していたこともあり、かなりの間先行車が見えず、食い外れたかとあきらめかけたところで休憩所に到着。 すでに200人くらいの人が食事中であった。 第3陣で出発しようとしたところ、シフトレバーを見物の高校生にいじられたらしく、シートにまたがってペダルを逆転したところでチェーン外れを起こした。 サイクリストの奥さんに車で伴走予定の方の協力を得て復旧、第4陣で出発。 元気は取り戻したが、相変わらず暑く、向かい風が強い。 

ゴール地点前17kmの休憩所をスタートして、残りわずかと気を緩めたためか再び隊列に何度か抜かれた。 この辺りの路側帯の左半分には浜砂が積もっており、幅寄せされるとタイヤが砂に乗り上げてスリップし、走りにくいことこの上ない。 こういうことを繰り返せば消耗するだけと感じ、勝浦の急坂で体得したパワーペダリングを再開した。 そうこうするうち、ペダルを踏む足裏の位置を変えるとすぐに速度が上昇し、特段負荷増を感じないことに気が付いた。 数回繰り返してみたが、間違いない。 具体的には平均速度が22km-23kmから26km-28kmくらいに上昇(パワー比で30%-50%増大)。 気がつくと先行集団を追い越しはじめていた。 まだエネルギーが残っている。 エンジンが古いのに何故だ。 リカンベントポジションによる流体抵抗が少ない故か、SDVによる効率アップ=省体力の故か(要するに楽をしていただけのことか)、先祖のお陰か。 

ゴール前約2kmの地点で、100mくらいに連なった隊列(32km/hで進行中)の最後尾に追いついた。 車がいないことを見定め、その隊列の右側に飛び出し一気に36km/hまで加速。 追い越しをかけて間もなく、”先導させてもらいます”と言いながら誰かが小生の前に飛び出してきた。 指導員の腕章をつけていた。 どうも昨年のツールドちばで会った人だ。 本日初のコバンザメ走とあいなり、気がついたときには43km/hでその隊列の先頭を追い越していた。 ほどなく二人でゴール。 気分爽快。 ゴールは15時少し前、先頭集団に10数分程度の遅れであった。 その方は実業団の選手で、道理で速かった。 コバンザメ走のお礼を申し上げた次第である。 まだ、エネルギーは残っていたが、3日通してやれるほどの体力はないと実感。 オールステージ参加されたサイクリストの皆さんに脱帽!

当日の小生のデータ
最高時速47.6km(メータ記録)。 平均時速(記憶)は前半20km-24km、後半23km-28km